トピックス‎ > ‎

世界旅行記 イタリア編③ ~Macrobiotic Report in Italia~

2018/04/04 3:46 に Mitsuko Mikami が投稿   [ 2018/05/04 2:55 に更新しました ]
マリネラと私
昨年、8月末に灼熱の香港から帰国して間もない3週間後にまたイタリアのボローニャへと向かいました。昨年の本誌でもご紹介した友人のマリネラを訪ねるためです。

マリネラとは30年来の友達で彼女は世界一古いと言われるボローニャ大学法学部で博士号を取得しました。彼の夫ロベルトも同じボローニャ大学卒業で今は同大学で教鞭をとるかたわら自分の会社も経営しています。

9月始め、外科医としてボローニャで長年活躍していたロベルトの父が93歳で他界し、彼が郊外に所有していた別荘をほとんど使わないので売りに出そうか悩んでいるとメールが来ました。
3階のバルコニーからの眺めが素晴らしく(晴れた日にはアルプスが見える)踏ん切りがつかないとの事でした。そこで、もし私がその場所をクッキングスタジオとして日本の人達とうまく活用できるなら貸してあげると言われました。
マリネラのお父さんは大型客船の船長として世界中を航海していましたが燃料補給や船の点検のためよく一時寄港していた日本が大変お気に入りで日本の話しをしょっちゅう聞かされて育った彼女は大の親日家なのです。
昨年イタリアを訪れた時はクッキングクラスやパーティーのお料理作り、コンサルテーションなどで忙しく、自由な時間が取れなかったので今回はゆっくり街を見たり、一緒にお料理をしたり、観光などもして楽しく過ごそう、ということになりました。
マリネラの別荘1 マリネラの別荘2 マリネラの別荘3 

9月半ばだというのに北イタリアの朝晩は寒く、暖房が欲しい位でしたが環境管理が徹底しているボローニャでは4月12日から10月12日まではエアコンの使用が禁止されています。

味噌汁
イタリア特産の魚醤のようなもの
夜遅い便で到着した私をマリネラは空港にロベルトと迎えにきてくれ、それから彼らの家に行くとキッチンのテーブルには昨年クッキングクラスなどで何度も作った味噌汁がありました。
これに使っただしはローマ帝国時代から使われていたイタリア特産の魚醤のようなもので鰹節の代わりになるものを探していた凝り性のマリネラがどこかで偶然見つけたものだとか。
年代物のバルサミコ酢と同じ位高価なものだそうで、香水と見紛うような洒落たボトルに入っていました。
スープといえば牛スジを何時間も煮込んだ濃厚な味に慣れているイタリア人には味噌汁に昆布と椎茸のだしでは物足りないらしく鰹節が入らないと味噌汁は美味しくない、とはっきり言うのです。
またイタリアの水はカルシウム分が豊富なため昆布の旨みが水に溶けにくいという難点があります。そこでイタリアで生まれた伝統発酵食の魚醤とイタリア産味噌を使いマクロの基本原理である身土不二の味噌汁を作り上げたマリネラに感謝しつつ、美味しい味噌汁を有難く頂きながらその晩は遅くまでおしゃべりに花を咲かせました。

翌日、午後には早速マリネラの義父が所有している郊外の別荘を見に出かけました。ボローニャから車で約1時間かかるその村は昨年お祭りに連れて行ってもらっていたところです。

3階建のその別荘に何人宿泊可能なのかマリネラもはっきり把握しておらず、今回二人で調べたところ全体として10人位が泊まれることが判明。
玄関を入ると広いリビングがあり小さなキッチンが一階と二階の2か所、バスルームも各階にあり、3階には見晴らしの素晴らしいバルコニーがあり、ここでヨガをやったら気持ちがいいだろうなと思いました。
蜘蛛の巣だらけかと思っていましたが長年使っていない割には綺麗でした。
しかし、実際に使うとなればあちこち手を入れて大掃除をしなければなりません。
村にはレストランやカフェ、ベーカリー、スーパーもあり新鮮な野菜も手に入るので買い物をしてこの家でお料理をすることも可能です。
昨年この村に来た時は丁度さくらんぼの時期だったので農園で木から直接実を摘んで食べたり、道端のお店から安く大量にさくらんぼを買って帰りチェリーパイを作りました。
ここからはフィレンツェやミラノ、ベネチアなどにも気軽に行くことができます。
今後この場所を活かしてクラスやクッキングに集中講座などマクロの啓蒙活動をできることを私もマリネラも楽しみにしています。

トマトのみで味付けした手作りのパスタ1 トマトのみで味付けした手作りのパスタ2 ナスやズッキーニのソテー1 ナスやズッキーニのソテー2
マリネラ夫妻の友人達は医者が多いのですがその仲間達とよくパーティーを通して交流しています。
イタリアのパーティーは始まりが遅く8時くらいに始まり、終わるのは12時を回る事もしばしばです。
8時すぎからワインやシャンパンに一口サイズのパンやチーズ入りパイなどのフィンガーフードをつまみながらソファなどでホスト夫妻と招かれた客同士でおしゃべりします。
パーティーに呼ばれるたびにお手伝いをする口実でキッチンを見せてもらいますがパーティ慣れしている彼らは全てのお料理をすでにキッチンテーブルに並べていて準備万端。
あとはお皿やグラス、カトラリー類などが完璧に用意されたリビングのテーブルに運べばいいようになっています。
30分位それぞれがリビングのあちこちで雑談をした後皆テーブルに腰掛けるようホストに促され前菜である温かいパスタが配られます。
パスタだけで日本人ならお腹がいっぱいになるところですがこれにたいがいキュウリ、人参、セロリ、などのステックサラダを大量に美しく盛り合わせたものとオリーブオイルと塩がテーブルにありますのでワインを飲みながら皆で野菜をつまみます。
全員がパスタを食べ終え、お皿を下げると次にメインの温かい煮込みの肉料理、またはローストビーフや生ハムなどの盛り合わせやなどが出てきます。
ボローニャは元々伝統的に肉食の地域であることから特に年配の人達にベジタリアンは受け入れがたい雰囲気が感じられますが私用にはあらかじめマリネラが肉なしでお料理を頼んでおいてくれるので私だけトマトのみで味付けした手作りのパスタやキノコの煮物やナスやズッキーニのソテーなど用意しておいてくれました。
そして最後には複数の豪華なケーキ(有名パティシエ作の市販のホールケーキが用意されることも多い)と甘いリキュールやチョコレートなどで締めくくります。
日本人ならこれにコーヒーか紅茶が欲しいところですがイタリア人は夜はこれらを飲むことは滅多にないようです。
ただこういう食事はパーティー用で、普段の食事は地中海式食事法として知られているように新鮮なオリーブオイルや野菜、果物を豊富に使ったシンプルな料理が多く食後には甘いデザートより果物やチーズ少々を取り、添加物やアミノ酸で加工された食品や揚げ物の摂取があまりないように感じます。
また日本の白滝がローカロリーなのでパスタの代わりにする人もあり、有名になってきていて、スーパーでも見かけました。
土壌がミネラル豊富なので野菜もしっかりしていておいしくサラダやパスタや野菜の煮込みなどマリネラと日本食とイタリア食をお互い作り合いレシピの交換もたくさんしました。
食に関しては保守的なボローニャですが大きなスーパーやcoopではベジタリアン用の雑穀類、米、豆の他、雑穀や豆やグルテンでできた様々な種類のナチュラルバーガーやパテなどの冷凍食品、豆乳ヨーグルト、アーモンドミルク、クリーム、豆乳アイスクリーム、大豆ハム類など日本やアメリカでは見たことがない商品が豊富にあります。
今回はその幾つかを買って試食してみましたが値段も味も手頃であれもこれも試したくなりました。
ボローニャのスーパー

友人夫妻が経営しているスパ
マリネラとロベルト夫妻にはボローニャ郊外の広大な敷地に5つ星リゾートを何棟も建設して経営している友人夫妻がおり、今回はそこのスパにも行く機会がありました。
広いロッカールームで水着に着替え、私には大きすぎる真白いガウンを羽織ると内部を知り尽くしているマリネラは各種のスパをめぐりながら使い方など説明してくれます。
水に潜ると音楽が聞こえるプール、水の色や強さや種類が変わる仕掛けのシャワー、水と温水、交互に歩き免疫力を鍛えるプール、強力なジャグジーなどのほかスチームサウナと普通のサウナなども勿論あります。
途中休憩用に用意されてある果物を食べたり、各種健康ドリンクを試し飲みしたりしていると3時間はあっという間に過ぎてしまいました。
このスパにはなんとヒノキ風呂がありました。ここだけは特別料金がかかる予約制ということでしたが覗いてみるとヒノキの香りが漂う個室のお風呂になっていてヒノキの手桶が置いてあり、最初にこの桶で体にお風呂のお湯をかけて清めてから湯船に入るのだという説明も英語で書かれています。
お湯から上がると抹茶のサービスもあるそうでこんなところにも日本の伝統文化が生かされているのを知り、さすが文化や伝統を重んじる国イタリアらしいと思いました。
日本食や寿司レストランもこの肉食で保守的なボローニャでもだんだんと数が増え、人気上昇中のようです。

あれだけ世界中至る所に拡散しているマクドナルドとスターバックスは保守的なボローニャではメインストリートにあることはあるものの多くは見かけません。それぞれが10何世紀かの荘厳な建物にひっそり収まっており、あっても目立たないと云うことでしょうか。それよりも古くから営業しているカフェやジェラートのお店が沢山ありアーケード内の路上テーブルはどこも常に学生や多くの市民で賑わっています。

イタリアといえば栗も有名ですが丁度その時期だったのでロベルトの運転で栗やキノコの名産地として有名なCastel.del.Rioというところに行くことができました。
そこの村には彼らの友達夫妻が廃墟を買い取り改装し、家の一部を民宿にして住んでいます。
2時間近いドライブの末私達がそこに辿り着くと大きな2匹のポインターのような犬が出迎えてくれました。猫も2匹います。
挨拶を済ませ家の中を案内してもらいましたが一部まだ未完成であるものの、古い内部を残して水まわりなどリノベーションを終えたモダンな内装とアンティークの家具がマッチしたリビングや寝室は正にイタリア風古民家で素晴らしいの一言。
またどこの窓からも見渡せる閑静な森の眺めは心に平穏を与えてくれます。
奥さんは元々マリネラと同じくノーブルファミリーの出身でミラノのお城のようなマンションに先祖代々受け継がれてきた高価な家具類や絨毯や宝石、絵画などに囲まれ優雅に暮らしていたシティガールだったそうです。
ある日夫妻が旅行から帰ると一切合切、泥棒に盗まれていたのだそう。
イタリアらしい話しですがしかしいつまでも悲観する事なくそれを機にかねてから憧れだった自然の中での生活に飛び込んだのだとか。
街の暮らしに比べ退屈ではないか聞いたところ、今ではそこでの生活にすっかり馴染み、趣味のドライフラワー作りに励んだり、森を散歩したり、裏庭ではオーガニックの野菜や花を作ったり、街には行きたいとも思わなくなったのだとか。
裏庭に自然になっているりんごが盛りだったので枝から1つもぎ取って食べてみると案の定虫食いでしたが甘酸っぱく、まさに力強いりんごの味がしました。
これでアップルパイやジャムなど作ったら田舎暮らしもやめられなくなることだろうと羨ましく思いました。
それから栗のフェスティバルに夫妻の息子夫婦も加わって村の中心地に車で行き、そこで友達家族とも合流して予約してあった仮設テント内のレストランで栗のランチを食べることになりました。
生まれて初めて栗だけが入ったベジタリアン用のラビオリを食べました。
中の栗が甘いので塩とオリーブオイルと胡椒を頻繁にかけながら食べないと途中で飽きてしまうかもしれませんが他ではちょっと味わえないここならではの季節限定ランチでお勧めの一品です。
これに皆さんはワインや生ハムなどでワイワイガヤガヤの楽しいランチとなりました。
その後焚き火の上に乗せた大きな釜で炒った自然の香ばしい焼き栗とカップ入りのボージョレーを買い求め、更に栗を食べワインを飲んでは屋台のお店を覗いて歩く、という大いに栗を堪能した贅沢な1日となりました。

今回はまた特急電車で30分ほどのフィレンツェに午後から出かけたり(夜は8時すぎまで明るいので)、スイスとの国境近くにあるイタリア1大きな湖に面した高級リゾート地、Stresaでチューリヒから来た我々の古くからの仲間とホテルに宿泊し、船で島に渡り、荘厳な教会や豪華な大富豪の館を見学したりロープウェイで山の上の植物園に行ったり、村を散策したりしながらお喋り三昧で大いに盛り上がりました。
旦那さんが物理学者でスイスの地下にある巨大な施設で重力の研究をしているこの彼女も白血病を克服しています。
ここでは夕食に飛び込みで普通のレストランに入りましたが私は豆の煮物と夏やさいのグリル焼き、それに洋梨の赤ワイン煮、マリネラと友人はシンプルな魚のソテーを注文。ランチにはポレンタのトマトソース添えやベジタブルパテ入りバーガーなどもあり、どこへ行ってもベジタリアンが困らない対応になっているのには感心しました。

帰国の数日前、ボローニャの洗練されたレストランにマリネラ夫妻と私の3人は彼らの友達一家に夕食に招待されました。
そこには夫妻と彼らの長男、次男の4人が待っていました。
まだ20代の長男は日本のアニメが大好きで日本文化に憧れているのだとか。
英語が流暢で私とはすぐに打ち解けましたが二十歳の次男は様子がちょっと違いました。
彼は幼い時から自閉症で知らない人には打ち解けず触られるのも嫌うので学校や病院に行くのも大変だそうです。
言葉も英語どころではなくまだ幼児のような話し方をしますが聞かれるとうなずいたりしてどうも言われていることはわかっているようです。
さて、この彼は数ヶ月前から体重が激減し同じ物を普通に食べているのにどんどん痩せていっているのだとか。
見た所元気そうではありますし、食欲もあるのにと病院に連れて行ったところどうも潰瘍性大腸炎の疑いがあるのだとかでこれから検査だそうです。
心配のあまり彼を溺愛している父親は息子が不憫で昼も夜も彼と一緒に過ごし、夜は同じベッドで眠るようになり二十歳の息子を完全に幼児扱いしているようです。
両親は英語を話さないので長男かマリネラが常に通訳してくれます。
驚いたことにこの二十歳の青年は東洋人の私を見ても恐れることなく暴れ出すどころか落ち着いて満面の笑みを浮かべているのです。
それを見てとりあえず大騒ぎになり収集がつかなくなる悲惨な事態は避けられたことがわかって両親の緊張が解けたのか家族は皆笑顔になり注文した大量の魚のフライやパスタ、サラダ、などを食べながらイタリア語でマリネラ夫妻とジョークを交え大笑いしながら会話が弾み出しました。
この場の雰囲気に次男も嬉しそうに一生懸命食べています。
そこで私に心を許した父親は息子に何を食べさせたらいいだろう、と聞いてきました。
この夫妻の経営する店では僅かながら番茶や梅酢や醤油などの純正日本食も扱っていて奥さんには日本の正食の理解がありますがさて、ご主人にはどこから説明していいものやら。
こんな時私は理屈よりも先に行動に出てしまいます。
了解を得て私は彼の背後に回り腸に繋がっている肩にまず手を置いてみました。
ガリガリに硬くなっている肩を揉んでみると彼はとても気持ちが良いとさらに喜んでいます。
常に恐怖感で緊張し、何年も凝り固まっている肩を揉みほぐすとエネルギーの流れが良くなったのか青白かった顔色がほんのりピンク色に変わってきました。
母親は大体正食の基本はわかっているのでとりあえず実践可能なこと、梅しょう番茶や梅しょう葛、味噌汁や豆、雑穀など穀物などを中心に食べ、多食の傾向にある果物、デザート、チーズなどを減らす方向で検査の結果を待つことにしました。
友達一家との夕食 友達一家の夕食に招待されたマリネラ


こうして行く先々でいろいろな人との出会いがありまた学ばされます。私たちは常に様々な困難を抱えて時につまづくこともありますがとにかくその都度前を向いて立ち上がりまた歩き続けなければなりません。
中国の古典である”菜根譚”にも著されているように、苦境に陥った時こそ自分の心や思考様式を考え直し生活を立て直すチャンスでもあるのです。

イタリアの現政権にしても今難問だらけの苦境に陥っています。国内の大量失業者に加え、連日北アフリカから命がけでやってくる難民受け入れの問題があります。何しろ文化の違いが大きすぎて彼らの行動が保守的なイタリア人に受け入れられないことも問題の一つであるようです。

運命共同体である人間同士で分かち合いどころか自分ファーストの考え方や行動があたかも当然のように蔓延し、それが国家に反映され、分離、分断、差別の意識が広まりを見せる現在ですが宇宙の法則から外れたこの思考はこのままでいけば更に地球を苦しめることになるでしょう。

地球が壊滅的な打撃を受け、全ての生命が生きる場所を失う前にマクロビオティックの英知が問題改善に果たして役割を果たせるものかどうかマクロの本質が問われる時が来たと思います。
Comments